生成AIで、どこまで作れるのか
ChatGPTなどの生成AIに「京都の工務店のホームページを作って」と頼むと、トップページの構成、見出し、本文、HTMLのコードまで、数分で出してくれます。画像を作るAIを使えば、イメージ写真のような素材も用意できます。
ホームページ作成サービスの中にも、いくつかの質問に答えるだけで、ページのたたき台を自動で組んでくれる機能が増えてきました。
つまり、「それらしい見た目のページ」を作るだけなら、AIでも十分にできる時代になっています。
ただ、ホームページを作る目的は、ページを用意することそのものではないはずです。問い合わせを増やす、採用につなげる、取引先に信頼してもらう。その目的に届くかどうかは、別の話になります。
AIが得意な作業と、注意点
制作の作業ごとに、AIが役立つ場面と、使うときの注意点をまとめました。
| 作業 | AIが役立つ場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 構成案 | ページの種類や並び順のたたき台を、すぐに出せる | 同業他社と似た、ありきたりな構成になりやすい |
| 文章の下書き | 白紙から書くより、早く形にできる | 事実と違う内容がまざることがある。御社の実績や強みは知らない |
| 言い換え・要約 | 長い説明を短くする、やわらかい表現にする | 大事なニュアンスが抜けていないか、確認が必要 |
| 画像 | イメージ図や、背景用の素材をつくる | 実在の人物や店舗のように見せると、誤解を招く |
| コード | 小さな部品や、細かい修正の下書き | 表示の崩れや、スマホでの見え方は人の目で確かめる |
どの作業にも共通するのは、AIは「早く下書きをつくる」のが得意で、「それが正しいか、御社に合っているか」を判断するのは苦手だということです。
AIに任せきりにできない5つのこと
制作の現場で、AIに任せきりにしないほうがいいと考えているのは、次の5つです。
- 誰に、何を伝えるかを決めること同じ工務店でも、新築を考えるご家族向けか、リフォームを考える年配の方向けかで、サイトの中身はまったく変わります。ここが決まらないまま作ると、誰にも響かないページになります。
- 事実の確認生成AIは、もっともらしい間違いを書くことがあります。料金、資格、営業時間、実績の数字などは、一つずつ確かめる必要があります。
- 御社にしかない情報お客様の声、施工事例、スタッフの写真、創業のきっかけ。AIはこうした情報を知りません。ここが抜けると、どの会社のサイトにも書けそうな一般論になってしまいます。
- 公開後の解析と改善どのページが読まれ、どこで離れ、何がきっかけで問い合わせが来たのか。アクセス解析の数字を見て、次に何を直すかを決めるのは、今も人の仕事です。
- 権利と信頼AIで作った画像や文章が、他社の作品や記事とよく似てしまうこともあります。会社の顔になるサイトだからこそ、公開してよい内容かどうかを人が判断します。
ポイント
AIが速くしてくれるのは「作る」ところです。成果を左右する「決める」「確かめる」「直す」は、むしろ人の比重が大きくなっています。
Googleは、AIで書いた文章をどう見ているか
「AIで書いた文章は、検索順位が下がるのでは?」という心配もよく聞かれます。
Googleは、生成AIを使うこと自体を問題にしていません。公式のガイダンスでは、AIはトピックの調査や構成づくりに役立つとしたうえで、読む人にとっての価値を加えずに、大量のページを作ることをスパムとして扱うと説明しています。
あわせて、公開前の事実確認が大切であること、その対象には本文だけでなく、ページのタイトルや説明文、画像の代替テキストも含まれることが示されています。
要するに、問われているのは「誰が書いたか」より「読む人の役に立つか、正しいか」です。これは、AIが登場する前から変わっていない基準でもあります。
出典:Google 検索セントラル「ウェブサイトで生成 AI によるコンテンツを使用するための Google 検索のガイダンス」(2026年10月時点)
社長がAIでつくったモックアップから始まることも
最近は、社長さんご自身が、伝えたい思いを生成AIでモックアップ(画面のイメージ)にして持ってこられることがあります。
完成度はさまざまです。それでも、言葉だけで打ち合わせをするより、イメージや伝えたいことのすり合わせがスムーズに進みます。画面を指さしながら「ここはこのままで」「この順番は違う」と話せるからです。
その結果、納期が短くなり、費用を抑えられたこともあります。制作側にとっても、「この会社が何をいちばん大事にしているか」が、早い段階で見えてきます。
AIに「サイトを作らせる」のではなく、AIで「伝えたいことを形にしてみる」。この使い方は、とても相性が良いと感じています。
イメージを伝えるための、生成AIの使い方
社長や担当者の方が、制作会社に相談する前にイメージをまとめるなら、次の順番がおすすめです。
- まず、言葉で書き出す誰に見てほしいか、いちばん伝えたいことは何か、見た人にどうしてほしいか(電話、来店、問い合わせなど)。箇条書きで十分です。
- AIに、構成と見出しを考えてもらう書き出した内容を貼りつけて、トップページの構成と見出しの案を出してもらいます。気に入らなければ、何度でも出し直せます。
- 画面のイメージまで出してもらう生成AIの中には、画面のたたき台をその場で表示できるものもあります。「この構成で、トップページのモックアップを作って」と頼んでみてください。
- 好きなサイト、違うと思うサイトを添える参考にしたいサイトと、「こうはしたくない」サイトのURLを2〜3件ずつ。好き嫌いの理由がひと言あると、さらに伝わります。
- 迷っているところは、迷ったまま持ってくるA案とB案で決めきれないなら、両方あって大丈夫です。迷っている点こそ、打ち合わせで一緒に考えたいところです。
頼み方の例
「京都で〇〇をしている会社です。〇〇に困っている人に向けて、ホームページのトップページの構成と見出しを考えてください。いちばん伝えたいのは〇〇です。見た人には、電話で相談してほしいと思っています。」
モックアップは完成品ではなく、伝えるための道具です。文章の事実確認や写真、細かいデザインは、あとから詰めていけば問題ありません。
WordPressのときと、似ているところ
WordPressが広まったころ、「これがあれば、社内でホームページが作れる」と考えた方は多かったと思います。ソフトは無料で、管理画面から誰でも文章を書き換えられるからです。今もそう思っている方はいるかもしれません。
それでも、自社だけでサイトを作り切った会社は、思ったほど多くなかったのではないでしょうか。ホームページの制作・運用に携わる人への調査では、すべてを社内で行っている事業者は約4割にとどまり、8割以上が制作会社などに依頼した経験があると答えています。
一方で、記事などのコンテンツづくりは、生成AIをきっかけに社内で進める会社が増えています。コンテンツ制作を内製している企業への調査では、2023年以降に内製化を進めた企業が7割を超え、その理由に「生成AIで制作するようになったため」を挙げた人が27.0%いました。ただ、同じ調査でAIを使ううえでの課題を聞くと、「思ったような内容・文章を出力できない」が75.0%にのぼっています。
道具が手軽になっても、何を、誰に、どう伝えるかを決める手間は残ります。今のところは、生成AIもWordPressのときと似た状況にあるように感じています。
出典:株式会社ペライチ「ホームページの制作・運用に関する実態調査」(2024年7月、有効回答567名)、ナイル株式会社「コンテンツ制作の内製化に関する調査」(2026年8月、954人)
まとめ
生成AIのおかげで、ページを形にするまでの時間は大きく短くなりました。これは、弊社にとっても、依頼してくださる企業にとっても良いことです。
その一方で、誰に何を伝えるか、内容が正しいか、公開後にどう直していくか。成果を分けるこうした部分は、AIだけでは決まりません。AIに任せるところと、人が決めるところを分けて考えると、どちらに時間をかけるべきかが見えてきます。
AIだけで、自分たちでサイトを作り切るには、もう少し時間がかかるような気がします。経営者の方には、その時間で、自社のビジネスをどう伸ばしていくかを考えていただきたいと思います。それを多くの方に届けるところは、私たちが仕事としてお手伝いできるはずです。




