そもそも、何が違うのか
いちばん大きな違いは、「サーバーごと借りるサービス」か「自分で用意したサーバーに入れて使うソフト」かです。
Zoho Sitesは、Zoho社が提供するホームページ作成サービスです。月額(または年額)の利用料に、サーバー、SSL(https化)、システムの更新が含まれています。アカウントを作れば、すぐに作り始められます。
WordPressは、世界中で使われている無料のソフトウェアです。レンタルサーバーとドメインを用意し、そこにWordPressを入れて使います。ソフト自体は無料ですが、サーバー代と、本体・テーマ・プラグインの更新といった保守が必要になります。
つまり、Zoho Sitesは「家具付きの賃貸」、WordPressは「土地を借りて自由に建てる家」に近いイメージです。どちらが上というより、住み方に合うかどうかの違いです。
8つの項目で比べる
制作の現場でよく聞かれる項目で比べました。
| 項目 | Zoho Sites | WordPress |
|---|---|---|
| 始め方 | アカウントを作れば、すぐに使える | サーバーとドメインを用意して、インストールする |
| 月々の費用 | Zoho Sitesの利用料(年払いで月額710円〜、税別) | レンタルサーバー代とドメイン代 |
| 保守 | サーバーやシステムの更新はZoho側で行われる | 本体・テーマ・プラグインの更新を、自社または制作会社で行う |
| 更新のしかた | 画面を見ながら、ドラッグ&ドロップで編集。ブログ機能もある | 管理画面から投稿・編集。入力画面をサイトに合わせて作り込める |
| 機能の追加 | Zohoのアプリとの連携と、コードの埋め込み | 数多くのプラグインから選んで追加 |
| ページ数 | プランごとに上限あり(スターター5ページ、プロ50ページ) | 上限なし(サーバーの容量の範囲で) |
| 問い合わせの管理 | Zoho CRMに、そのまま顧客情報として登録できる | プラグインや外部サービスを組み合わせる |
| 引っ越し | ほかのサービスへ移すときは、作り直しが前提 | サーバーを替えても、データごと移せる |
Zoho Sitesの料金・ページ数は、2026年10月時点の日本向け公式プラン(年払い)にもとづいています。最新の内容はZohoの公式サイトでご確認ください。
制作費は、管理画面の作り方で変わる
制作費の差は、ツールそのものよりも「更新する人のために、管理画面をどこまで作り込むか」で生まれます。
WordPressは、この作り込みの幅がとても広いソフトです。たとえば「カスタム投稿タイプ」という仕組みを使うと、お知らせとは別に「商品」「施工事例」「スタッフ紹介」といった専用の入力画面を作れます。価格や仕様などの入力欄を決めておけば、担当の方は欄を埋めるだけで、サイトのデザインに沿ったページが公開されます。
商品登録のような作業を、専門知識のない方でも簡単にできるようにする。これはWordPressの大きな強みです。その代わり、入力画面の設計と開発に手間がかかるので、作り込むほど制作費は上がります。
Zoho Sitesは、用意された編集画面の範囲で作る場合は、制作費を抑えやすくなります。一方で、デザインを細かく作り込むとカスタムCSSやコードを使うことになり、こちらも手間に応じて費用が変わります。
どちらの場合も、「誰が、何を、どのくらいの頻度で更新するか」を先に決めておくと、必要な作り込みの量が見えてきます。
運用費は、思ったほど差が出ない
毎月かかる費用は、Zoho SitesならZohoの利用料、WordPressならレンタルサーバー代とドメイン代が中心です。プランやサーバーの選び方で変わりますが、月々の金額だけで比べると、大きな差にはなりにくいのが実際のところです。
差が出るとすれば、お金よりも手間のほうです。WordPressは、本体やプラグインの更新を誰かが続ける必要があります。この点は、次のセキュリティの話につながります。
セキュリティは、Zoho Sitesに分がある
セキュリティの面では、仕組みのうえでZoho Sitesのほうが有利だと考えています。
WordPressは、世界中で使われているぶん、狙われやすいソフトでもあります。WordPressのセキュリティを調査しているPatchstack社によると、2025年に新しく見つかったWordPress関連の脆弱性は11,334件。そのうち91%がプラグイン、9%がテーマで、WordPress本体はわずか6件でした。公開された時点で修正版が出ていなかったものが46%あり、大規模に悪用された脆弱性では、公開から悪用までの時間(中央値)が5時間という報告もあります。
つまり、WordPressを安全に使い続けるには、使うプラグインを絞り、本体・テーマ・プラグインの更新をこまめに続けることが欠かせません。更新したことで表示が崩れることもあるので、確認の手間もかかります。
Zoho Sitesには、プラグインを入れる仕組みがありません。サーバーやシステムの更新、SSLの管理はZoho側で行われるので、利用する側が更新作業をする必要がなく、狙われる入り口も少なくなります。
ただし、Zoho Sitesなら何もしなくていい、というわけではありません。ログインのパスワード管理や2段階認証、埋め込んだ外部のコードの扱いなど、利用する側で気をつけることは残ります。
ポイント
WordPressでも、プラグインを必要なものだけにして、更新を続けていれば、安全に運用できます。社内で更新作業まで手が回らないなら、保守の手間が少ないZoho Sitesのほうが安心しやすい、という考え方です。
出典:Patchstack「State of WordPress Security in 2026」(2025年の脆弱性データ)
Zoho Sitesが向いている会社
Zoho Sitesが合いやすいのは、次のような会社です。
- すでにZoho CRMやZoho Oneを使っている問い合わせフォームから届いた情報を、そのままCRMの見込み客や連絡先として登録できます。転記の手間がなくなり、対応漏れも防げます。
- 会社案内が中心で、ページ数はそれほど多くないサービス紹介、会社概要、実績、問い合わせといった構成なら、プランの上限内で十分に組めます。お知らせやブログも、標準の機能で書けます。
- サーバーや更新作業の管理に、手間をかけたくないシステムの更新やSSLはZoho側に任せられるので、社内に詳しい人がいなくても運用できます。
- 予約やお問い合わせを、業務の流れにつなげたいZoho Bookingsを組み込めば、来店や面談の予約をサイト上で受け付けられます。
ポイント
Zoho Sitesの強みは、サイト単体よりも「Zohoのほかのアプリとつながること」にあります。Zohoを使っている、またはこれから使う予定があるなら、まず候補に入れて損はありません。
WordPressが向いている会社
一方で、次のような会社にはWordPressが合っています。
- 商品や事例など、決まった形の情報をたくさん載せたい専用の入力画面を作れば、担当の方が欄を埋めるだけで、デザインのそろったページを増やしていけます。
- ページ数が多い、これから増えていくページ数に上限がないので、施設案内や商品紹介などが多いサイトでも安心です。
- 独自の機能を、細かく作り込みたいプラグインや個別の開発で、検索、会員機能、多言語など、さまざまな機能を追加できます。
- 将来、サーバーや管理会社を替える可能性があるデータごと引っ越せるので、運用の自由度が高い形です。
迷ったときに考えたい3つのこと
どちらにするか迷ったら、次の3つを考えてみてください。
- Zohoのアプリを使っている、または使う予定はありますか?「はい」なら、Zoho Sitesを軸に考えるのが自然です。問い合わせや予約を、そのまま業務につなげられるからです。
- 決まった形の情報を、たくさん登録・更新しますか?商品、施工事例、物件などを数多く載せていくなら、入力画面を作り込めるWordPressが向いている場面が多くなります。
- サイトの更新や保守は、社内のどなたが担当しますか?担当者がいない、または本業と兼務で手が回らない場合は、保守の手間が少ないZoho Sitesが向いています。
まとめ
Zoho Sitesは、Zohoのアプリとつながり、保守やセキュリティの手間が少ないこと。WordPressは、管理画面を作り込める自由度と、機能やページを増やしていける広がり。どちらにもはっきりした良さがあります。
費用だけで見ると、制作費は管理画面の作り込みで変わり、月々の運用費には大きな差が出にくい、というのが制作者としての実感です。大切なのは、ツールを先に決めることではなく、「サイトで何をしたいか」「公開後に誰がどう動かすか」から考えることだと思います。




